ぜんぶ、すてれば

今夜の名言
自分が役に立つ存在になるなんて考えるのは奢りです。もちろん役立とうとする努力は大切ですが、今日一日を楽しくありがたく味わって過ごしたい。仕事で失敗したって、明日死ぬわけじゃない。

『ぜんぶ、すてれば』(中野善壽/日本の実業家)より

自分は何のために生きているのか? 誰かの役に立っているのか、と考えることがあるけれど、この言葉を聞くとホッと心が軽くなります。

「何者かになろう」と肩に力が入っているとき、自分の心が喜ぶことを無視してしまうことがある。小さな幸せも見えなくなって、ただただ、焦るばかり。

先日も仕事で失敗して、上司からの指摘もあり自己嫌悪……。注意されることが増えると、自分がとても役立たずで惨めに感じちゃう。これも執着なんだろうなぁ

おぼろ月

仕事ができると思われたい、認められたい、褒められたい……。人からの評価をあれこれ頭で考えていたら、目の前のことに集中したり楽しんだりできません。

この本は、情報があふれる世の中で、将来への不安を抱きながら息苦しくなっている人に読んでもらいたい書籍です。

わたしの心に響いた言葉をいくつか紹介していきます。

好き嫌いを意識して、捨てるセンスを磨く

「何を捨てて、何を残すのか。その選択のセンスはどうやって磨くんですか?」という質問をインタビュアーから受けたそうです。

著者の中島善壽さんは、どんな場面でも「好き・嫌い」をハッキリ意識しています。「これは好き。このやり方は好きじゃない」という直感で取捨選択をしていくのです。

彼は、幼い頃に祖母から「生け花」の手ほどきを受けたそうです。どの花がすき? どの長さに切るのが好き? どの組み合わせが好き? そうやって自分の気持ちに耳を傾ける経験から、捨てるセンスと決断力が磨かれていったのです。

多くの情報を手に入れるほどに、自分の本当の想いがわからなくなります。リサーチばかりしないで、頭を空っぽにして、心の声を聴く時間をつくることが大切ですね。

所有は安定を生まない。捨てれば自由に

本のタイトルは「ぜんぶ、すてれば」ですが、中島さんは捨てる以前に「持たない」ライフスタイルを確立されています。

家は台湾にありますが、賃貸暮らし。日本に帰ってきたときはホテルに滞在をします。住まいを所有することは、「ここにいつまでも縛られる」と考えています。ものを所有することは、安定を生むのではなく不安が増えるだけだと。

「いつでも移れる。どこでもすぐに新しい生活を始められる」。人生の選択肢を広げてくれる、そんな軽やかさを持ちたいと僕は思います。

そういう彼は、家もクルマも時計さえも持たず、小さな鞄ひとつで飛行機に乗り込みます。服も持たないので、出張先で調達するそうです。服を持たないことに関しては、『「いつ捨てたっていい服」を着ていれば、行動を制限されないから、いつでも思い切れる』と語っています。

おぼろ月

身軽にさっそうと歩くために。家にある何年も着ていない服、押し入れに隠している不要品、ぜんぶ捨ててみよう!

花も人も対比で引き立つ

先ほど「生け花」の話をしましたが、人間関係においても花から学べることがあります。

花の色というのは、その花だけで引き立つのではなく、隣に白を生けるのか、黄を生けるのか、対比がとても重要になります。人間も同じ。誰を隣に置くかによって、“らしさ”が引き立っていくものではないでしょうか

仕事のパートナー、友人、夫婦も、お互いの長所を引き立て、短所を補い合える相手だとうまくいきます。生け花のように「組み合わせ」によって、相手の個性を引き立てられるか殺してしまうかが決まるので、どのような環境に身を置くのかも大事な判断ですね。

スマホを捨てる。自分を失くしたくないから

街を歩いていても、電車の中でも、多くの人がスマホを眺めています。わたしも時間があるとつい、検索やYouTubeで情報を得ようとしてしまう。

中島さんは、昔スマホを使った経験があるのですが、一ヵ月で嫌になってやめたそうです。情報が多すぎて余計な時間を取られてしまうこと、それが自分を失うことになると感じたからです。

また、スマホはとても便利ですが、心を貧しくする危険があるといいます。例えば映画文化。大画面と迫力の音で作品に触れてこそ感動が得られるのに、今ではスマホのような小さな画面で満足してしまう人がいる。

作り手が想定したとおりの環境で作品に触れ、五感でしっかり感動を受け止める経験が大切だといいます。

わたしは大学のゼミの先生が映像学科の講師だったので、同じようなことを語っていました。監督・俳優・美術・広報・スタッフ、たくさんの人が関わって出来上がった作品。映画館で観てこそ意味がある、と。

そのおかげで、学生時代は週に一度映画館に足を運んでいました。昔は上映ごとに観客の入れ替えがなかったので、同じ作品を何度も鑑賞できる楽しみがありました。また、クラシック映画を上映してくれる劇場もあって、名作を映画館で観られたので良かったです。

結婚してから、映画館で作品に触れることがなくなったなぁ。本物を五感で味わうために、ひとりで映画館や美術館に行ってみよう~♪

おぼろ月

どのような想いを込めてお金を使うか

貯金は昔からしない主義です。自分一人が生活するのに必要最低限の現金を残して、あとは寄付とアートの購入に使うだけ。蓄財したところで、僕が死んだ後の揉めごとを増やすだけです。

中島さんが寄付を始めたのは、27歳の頃でした。まだ少なかったお給料の中から三分の一を寄付していたため、貯金はできません。アートの購入も、資産としてのコレクションではなく、若手アーティストを応援するという目的です。

「定まった評価には惹かれない。魂のある作品を買いたい」という中島さんは、周りの評価ではなく自分の心が「価値がある」と感じられたものにお金を使いたい、といいます。

おぼろ月

自分に必要なもの以外は、持たない・捨てるというシンプルな生き方。「もっと欲しい」「こうなりたい」と求め続けてしまうわたしにとって、もう一度人生を見つめなおす機会になりました

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この本に興味が湧いた方は、手に取ってみてくださいね。

◆参考文献
『ぜんぶ、すてれば』(中野善壽・なかのよしひさ)

◆著者について
1944年生まれ。伊勢丹、鈴屋で新規事業の立ち上げと海外進出を成功させる。その後、台湾へ渡り、大手財閥企業で経営者として活躍。2011年、寺田倉庫の代表取締役社長兼CEOに就任。大規模な改革を実施し、老舗の大企業を機動力溢れる組織へと変貌させた「伝説の経営者」。




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