今日という一日は、ただの今日ではありません。今日の自分が何年後かの自分になるのです。一歩一歩を積み重ねると、やがて山頂に立つことができるのと同じです。
『仕事のためのセンス入門』(松浦 弥太郎/文筆家)より
新しいことをスタートしても、上手にできるようになるには時間がかかります。だからといって、「明日からにしよう」「いつか時間ができたらやろう」と思っていたら、いつまでたっても変われません。
「今日の自分が何年後かの自分になる」という言葉は、まずは一歩を踏み出そう、と背中を押してくれます。今日という日が未来の自分をつくっていると考えると、時間を大切にしようと心が引き締まります。
本書の中から、ぜひ取り組みたい「習慣」について紹介します。未来をより豊かにするヒントが散りばめられているので、興味が湧いた方は手に取ってみてくださいね。
習慣が未来をつくる
目標を達成するために、毎日モチベーションを上げる努力をするのではなく、よい習慣を身につけるのが大事です。毎日歯磨きをするように、習慣化したいことを「やらないと気持ちが悪い」と思えるようになるまで。
そのために、著者は「長期的な視点」が大切だと語っています。何年後、自分はどんな人間になっていたいのか、明確にする必要があるのだと。
本を読むのも、情報収集をするのも、健康的な生活を送るのも、未来の自分への投資になります。まずは今日という一日、小さな一歩でもいいから始めよう! どんな自分になりたいか、思い描きながら。
おぼろ月
人の感情を学ぶための読書
読書の習慣を身につけたい、と考える人は多いでしょう。著者は、「人の感情に詳しくなるため」に読書が必要だ、と述べています。本には自分が知らない世界が描かれていて、違った感情や価値観を学ぶことができます。
仕事においても、読書をすることで成果があらわれます。人の感情に詳しくなれば、相手(お客さん)を喜ばせるのに何が必要かがわかるからです。自分が何をするべきか明確になり、それが成功につながります。
また、本や映画に触れたときは「必ずメモを取る」習慣を身につけよう、と著者は語っています。印象的なシーンや、自分の心が動いた瞬間を書きとめることで、新たな発見を見つけられるのです。
おぼろ月
未来を考えて食べる
著者は、朝・昼・晩の食事をかけがえのない貴重な時間として扱っています。今日食べたもので、未来の健康な自分がつくられると考えるからです。ゆっくりと時間をかけて、料理を味わい楽しい時間を過ごすのが喜びだといいます。
また、食材にも興味をもち、信頼できる食品を選ぼうと心がけているそうです。「今日くらいいいだろう」と添加物の多い食品や油もの・スナック菓子などを取る行動が、未来の自分をこわしていると考えます。
食についての習慣を見直すことは、自分のメンタルにかかわるほど重要です。社会の変化に対応できるように、自分の体は自分で守っていかなければいけませんね。
おぼろ月
大切にしている小さな習慣
最後に、著者・松浦弥太郎さんの「一日にしていること」について、感心した習慣を一部抜粋します。(実際はもっと多くのルーティンが紹介されています)
・五時起床。手を合わせて感謝
・10キロのマラソンとストレッチ
・新聞(三紙ほど)と読書
【日中(仕事以外)の習慣】
・思考の時間
・手紙を書く
【夜の習慣】
・夕食後の3キロ散歩
・情報系ラジオ番組を聞く
・読書(絵本・児童書)
「10キロのマラソン」と「3キロの散歩」が素晴らしいです。運動を習慣化させたいけれど、なかなか毎日続けられません。また、新聞・ラジオ・本からの「情報収集」の時間も多いと思います。この習慣が未来の松浦さんをつくり、ポテンシャルを高く保ちながら仕事や執筆に打ち込める秘訣なんですね。
この書籍は「仕事のためのセンス」というテーマで、19章にわたり語られています。まだまだ紹介できていない部分があるので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
『仕事のためのセンス入門』(松浦 弥太郎・まつうら やたろう)
◆著者について
1965年、東京生まれ。アメリカの古書店にインスパイアーされてm&co.booksellersを立ち上げる。『暮しの手帖』編集長を経て、現在はCOW BOOKS代表、株式会社おいしい健康 共同CEO。執筆・編集活動、映像、ラジオのパーソナリティ、コンサルタント、自らのブランドの商品開発など、枠を超えた活躍を続けている。著書に『センス入門』、『ほんとうの味方のつくりかた』、『伝わるちから』、『着るもののきほん 100』、『人生を豊かにしてくれる「お金」と「仕事」の育て方』、『なくなったら困る 100のしあわせ」など。(本書より引用)