詩は、たのしめばいい。おもいついたら、書けばいい。

今夜の名言

詩は、たのしめばいい。おもいついたら、書けばいい。でも、すこし、その<かたち>を、考えるだけで、ぐっと視野がひらけたりする。

『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』(斉藤倫・詩人)

たくさんの感情が、わたしの中を通りすぎていくけれど、スルスルと手の中からこぼれて、「あれ、何を思っていたんだろう?」と不思議になる。そんな想いたちは、どうすれば<かたち>になるんだろう。そんなことを考えているとき、この本と出逢いました。

「詩は、たのしめばいい」「おもいついたら、書けばいい」。この本を読んで、“表現は自由でいいんだ”と心が軽くなりました。そして、詩がもっと好きになりました。

わたしの心に響いた言葉を紹介します。

書いたひとも、わかってない

ことばのいみなんて、わかりはしないけど、わかろうとしなくていいわけじゃない、ということさ

この物語は、主人公の「おじさん」の家に少年が遊びにきたときの会話で話が進んでいきます。「おじさん」の部屋にはたくさんの本があって、少年の悩みや疑問に答えるのに“詩を紹介”するのです。

その日の悩みは、テストで出題された「作者の気持ちを答えなさい」という問題について。少年は間違った答えを出して、不正解になってしまいます。少年の「作者の気持ちなんてわからない」という悩みから、おじさんは「ことば」と「気持ち」のつながりについて伝えてくれます。

普段の生活の中で、話している言葉と考えている内容がズレている場面があります。例えば、わたしがよくつぶやく「お寺巡りしたい」という言葉。心の中には「この部屋散らかってる、片づけてくれないかな? きれいな景色がみたいんだけど」という思いが込められていることも。

おぼろ月

言っている本人ですら、そんな心理が隠れていると気づかないのに、相手に伝わるわけもなく。でも、分かり合おうとする心が大切なんですね~

おもいが、ほろびてしまわないように

ひとは、ことばをつくって、こころを、あらわそうとした。それでも、あらわせないものが、詩になった

少年がある詩を読んだとき、何かを心に感じたけれど、それをうまく言葉にできませんでした。そのとき、おじさんは「そういう、ことばに、ならないものが、詩なんだよ」と教えてくれます。

心の中の想いや、日々の出来事は、文字にして残しておかないと誰にも知られることなく、自分自身の記憶からも過ぎ去ってしまいます。

「そのおもいが、じぶんといっしょに、ほろびてしまわないように」「たしかに、ふれられるものにしようとして、本ができたんだ」とおじさんは少年に伝えています。

おぼろ月

作品に触れたときの感動も、消えていってしまうから。こうして読んだ本の記録を残すのって大切だと思う

そのままで、詩じゃないか

あつい日に、エアコンの、しつがいき、のまえをとおると、あついかぜで、くらくらするよ。まるで、ちっちゃな、たいようが、たくさんあるみたいなんだ

これは少年の言葉です。この物語は、おじさんと少年との会話を楽しんでいるうちに、ふたりの関係が少しずつ明らかになっていきます。(詳しくは本書を読んでくださいね♪)

おじさんの味のある言葉にも引き込まれますが、少年の話にもハッとさせられます。自分が子どものころ、同じようなことを考えたと懐かしく思ったり、自由な発想に思わず笑ってしまったり。

そして、この少年の言葉はそのまま“詩”になっている、という魅力も。この本を読み終えたあと、表現は子どものようにもっと自由に、そう、美しい言葉じゃなくてもいいんだな、と感じました。

おぼろ月

想いを表現したいと願いながら、文章力のなさに落胆するばかり。でも、もっと自由でいいんですね

本書にはたくさんの詩が紹介されています。自分が少年になった気持ちで、詩の魅力を感じることができました。興味をもたれた方は、ぜひ読んでみてくださいね。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

◆参考文献
『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』(斉藤倫・さいとうりん)

◆著者について
1969年生まれ。詩人。詩集に『手をふる 手をふる』(あざみ書房)、『さよなら、柩』(思潮社)、『本当は記号になってしまいたい』(私家版)など。初の長編物語『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、児童文学者協会新人賞、小学館児童出版文化賞を受賞。他に『波うちぎわのシアン』(偕成社)、絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)などがある。また、『えーえんとくちから 笹井宏之作品集』(PARCO出版)に編集委員として関わる。(本書より引用)




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA