おむすびは心のふるさと

今夜の名言

わたしは食ほどストレートに心を伝えるものはないと思っていますので、まず食べてもらいます。その人が食事をおいしいと感じたとき、心の扉がだんだんと開いていって、胸に詰まっていたことが吐き出されるんですね

『おむすび』(佐藤初女/福祉活動家)

相手を元気づけたいと思うとき、あらゆる言葉を使って励ましたり、アドバイスをしたりすることがあります。でも、相手の心が開いていないと、何をしても、何を言っても響かないことも……。

今夜の名言は、助けを求めに来た人を無条件に受け入れ、食事と生活をともにする活動をされていた佐藤初女さん(2016年・94歳で逝去)の言葉です。

彼女は青森県弘前市にある『森のイスキア』に訪れた人々を、おむすびをはじめ、旬の野菜を使った手料理でもてなしました。食べることは命をいただくこと、という信念で、愛情と手間暇かけて作る手料理が悩める人を救います。

わたしは初女さんの本を数冊読んでいますが、レシピが中心になった本は初めてでした。凛として台所に立つ、初女さんの姿。美味しそうな手料理の写真を眺めるだけでも、心が温まります。

「おむすび」には不思議な力があります

彼女の活動が紹介された『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』にも、おむすびが登場しました。

この作品に触れた人が彼女のおむすびを求めて、はるばる『森のイスキア』を訪れました。著名人や芸能人も、初女さんのおむすびのにぎり方を学びにくるほど。

おむすびは日本人にとって、どこか懐かしく、心のふるさとのような存在です。小さな頃にお母さんやおばあちゃんが作ってくれたおむすびを思い出す人もいるでしょう。

わたしは子どもの運動会のとき、たくさんのおむすびを作りました。シンプルな塩おむすびでも、お外で食べると最高です! それだけで、みんなが笑顔になります。

おいしいおむすびを作るには

「おいしいおむすびを作るには、まずおいしいご飯を炊くこと」、と彼女はいいます。ご飯は少しかために炊いて、一粒一粒が呼吸できるように、ふんわりとにぎるそうです。

最初ににぎるときは手に水と塩をつけますが、2つ目からは塩だけでにぎります。塩を両手にまぶしたところに熱いごはんがのると水分になって、手にごはん粒がつかずににぎれます。

ごはん、塩、(手作りの)梅干し、焼きのりでシンプルに、にぎる手のあたたかさで仕上げます。


↑ちなみに、これが初女さんのにぎる、おむすび(本書・中表紙より)。たわら型や三角ではなく、まんまるです。一度にたくさん作るので、ごはんを椀にもって大きさを整えるのだそう。美味しそうですね♪

常備菜があれば心に余裕が

彼女は「忙しくてお料理ができません」という声をよく聞くそうですが、忙しい中で何が作れるだろうと考えて、心を込めて料理がすることが大事だといいます。

ただ、急いでいると心も焦りますし、自分もお腹がすいていて、いい加減な料理になってしまいます。だから、時間のあるときに日持ちのする「おそうざい」を作るのを提案されています。

切り干し大根やひじきの煮物など、冷蔵庫に常備しておくと「あと一品」が増えて嬉しいですね。

おぼろ月

とはいえ「時間のあるときに……」がなかなか難しい。やりたいことが多いと「時間のあるときに常備菜を作ろうっ!」とはならないので、食への意識を高める必要があります。初心に戻ろう!

おまけ(講演会の話)

もう10年ほど前の話ですが、わたしは佐藤初女さんの講演会に参加したことがあります。静かに語られる彼女の話に癒されながら、心が洗われる時間を過ごしました。

彼女の講演会の最後に「分かち合い」という質問コーナーがあるのですが、わたしが書いた文章が彼女に読まれました。

<小学校と保育園に通う3人の幼い子どもたちがいます。毎日の仕事と家事。せわしなく時が流れて、子どもと関わる時間も少なく、夜眠るときには「わたしの子育てはこれでいいのかな」と落ち込みます>といった内容でした。

彼女の答えは、「子育てにお仕事に、毎日がんばっておられるんだから、自分を責めることはありません。おいしい食事を作ってあげるだけで、愛情は伝わりますよ」という温かい言葉でした。

おぼろ月

あれから10年、子どもたちも大きくなり、高校生の長女はお料理ができるようになりました。うちは旦那さんも料理好きなので、わたしががんばることもないのですが(笑)、心を込めた手料理で家族を元気にしたいな~

今日は大好きな初女さんの本の紹介でした。他にも素敵な書籍がたくさんあるので、また厳選してお伝えしていきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

◆参考文献
『おむすび』(佐藤初女)

◆著者について
1921年青森県生まれ。青森技芸学院(現・青森明の星高等学校)卒業。小学校教員を経て79年より弘前染色工房を主宰。老人ホームの後援会や弘前カトリック教会での奉仕活動を母体に83年、自宅を開放して『弘前イスキア』を開設。92年、岩木山麓に『森のイスキア』を開く。助けを求めるすべての人を無条件に受け入れ、食事と生活をともにすることで、多くの人を再出発させた。95年に公開された龍村仁監督の映画『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』で活動が紹介され、国内外で講演活動をつづけた。アメリカ国際ソロプチミスト協会賞、国際ソロプチミスト女性ボランティア賞、第48回東奥賞などを受賞。著書多数。2016年2月逝去。(本書より)




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