「ぼんやり」は、男性脳の万能薬。「ぼんやり」させてあげられる女が、極上の女。そう覚えておけばいい。
『女と男はすれ違う!』(黒川伊保子/人工知能研究者・随筆家)
5人家族の我が家には、3人の男子がいます。旦那さん・長男(中3)・次男(中1)。今夜の名言で取り上げたように、男子たちの「ぼんやり」時間について、常々不思議に思っていました。
朝起きてソファーでぼんやり、仕事や学校から帰ってきてもソファーでぼんやり……。テレビやゲーム画面を観ているけれど、心ここにあらずといった様子のときもある。
この本の著者・黒川伊保子さんによると、男性は「ぼんやり時間」で頭の中が整理されたり、新理論が生み出されたりするらしい。女性の場合、親しい人とのお喋りの中で頭がクリアになるけれど、男性はポケーっとしている時間で瞑想のような効果があるのだとか。
おぼろ月
というわけで、今日は女性脳と男性脳の違いを紹介しながら、身近な異性との接し方のヒントをお伝えしていきます。
ただ単に「男は……」「女は……」と判断するのではなく、自分の中にある男性(女性)的な脳の反応を学べて、違った価値観も知ることができます。興味が湧いた方は、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。
contents
女と男の見ている世界
でも男性脳は、身近なものより「遠く」や「全体」を把握する能力に長けているらしい。これは本能的に狩りをする上で必要な力で、危険なもの以外に気を取られていると命が危ないから。敵が迫ってきているのに、身近に咲いている「花がきれい~♪」なんて言っていたら危険ですよね。
というわけで、男性が床に脱ぎ散らかした服をそのままにしちゃうのも、人の靴を揃えないのも、部屋の汚れを気にしないのも、見えている世界が違うからなのだとか・笑。
おぼろ月
女と男の会話のズレ
女性は「共感」のために会話をし、男性は「素早い問題解決」のために会話をする、と著者はいいます。
確かに~っ! わたしも旦那さんに「もう、仕事疲れたわ。嫌なことがあってさ~」と話し始めると、「じゃ、辞めれば?」「上司に言えばいいやん」なんて答えが返ってくる。
こんな時、女性は問題を解決したくて話しているのではなく、じっくり話を聴いてもらいたい・共感してほしいという思いがある。でも、男女の会話はすれ違うことが多いですね。
おぼろ月
著者の面白い『実験』
狩人の脳は危険を察知するために常に忙しく活動している。おしゃべりをしていて敵が襲ってくるのに気づかなかったら大変(現代社会において、そんな事態はあまり起きないけど・笑)。なので、男性脳には、自分に無関係な音を認識しないという機能があるらしい。
ここで面白かったのが、この著者のとある『実験』。「わたしの話、聞いてないな」と感じたときに、桃太郎の話を挟んでみたという。「昔々なんだけど、おじいさんとおばあさんがいたわけ。それでね……」といった具合に。
なんと著者の旦那さんは、桃が流れてくるまで気づかずに、上手に相づちを打っていたのだとか!?(爆笑)
だから「前に言ったよね?」「いや、聞いてない」という夫婦・恋人間のトラブルが起きてしまう。あるあるですね。
おぼろ月
こうして男性脳の特徴を知ると、「分かってくれない!」「腹が立つ~」という気持ちが薄れていきます。また、女性脳のように周りとの共感を大切にしながら自分と子供を守ってきた歴史にも感動しました。
脳科学の本、好きなのでいろいろ読むのですが、女性が女性の視点で書いている書籍も面白いですね!「そうそう、わかる~」なんて言いながら読み進めていました。
ちなみにこの著者の『定年夫婦のトリセツ』が参考書籍になっている映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』が5月21日から公開されました。面白そうな作品ですね~。残念ながら関西での上映が終わってしまったようなので、DVDで観たいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
『女と男はすれ違う!』(黒川伊保子・くろかわいほこ)
◆著者について
1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科を卒業。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリで人工知能の研究に従事したのち、株式会社感性リサーチを設立。世界初の語感分析法を開発し、多くの商品名やマーケティング戦略を手がける。また、人間の思考や行動をユーモラスに語る筆致によりベストセラーも多く、近著に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(講談社+α新書)、『人間のトリセツ』(ちはま新書)、『共感障害』(新潮社)、『コミュニケーション・ストレス』(PHP新書)などがある。2015年に刊行した『英雄の書』(ポプラ社)は、脳科学をもとに人生を切り開く方法をわかりやすく説くことで多くの世代から大反響を得ている。(本書より)